以下の案内がありましたので、お知らせいたします。詳細は、下部をご覧ください。
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経済産業省は、国内特許を含む標準必須特許のライセンス交渉に携わる権利者及び実施者が則るべき、我が国としての誠実交渉の規範を示す「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」(誠実交渉指針)を策定しました。
近年、標準規格の普及や当該規格に必要な技術の複雑化により、標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)のライセンスに関する紛争が世界各国で生じています。
特に、あらゆる製品(モノ)がコンピュータとなり、取得・共有された情報(データ)を処理することで新たな付加価値を生み出す第四次産業革命が進展する中、今後、自動車、建設機械、工場といった我が国が強みを持つ産業分野を対象とした異業種間でのSEPのライセンスが増加していく見込みです。
このため、当該紛争を円滑に解決する手段を検討することは、我が国にとって極めて重要な課題と考えられます。
このような状況を踏まえ、経済産業省競争環境整備室・知的財産政策室では、「標準必須特許のライセンスを巡る取引環境の在り方に関する研究会」を開催し、知的財産法・競争法の有識者や産業界の参画の下、我が国として望ましい対応策の検討に取り組んでいます。
昨年7月には、SEPのライセンス交渉に関する明確なルールが存在せず、予見可能性・透明性が低いことによって権利者及び実施者が抱える問題点や国際的な動向も踏まえ、当事者間での誠実な交渉を通じて早期の和解や無用な紛争の回避を促し、我が国産業の発展に繋げる観点から、上記研究会の中間整理報告書において、「政府として、権利者・実施者双方が則るべき誠実交渉のルールを迅速に検討し、対外的に発信していく」との方針を示していました。
本指針は、この方針に則り、経済産業省が、SEPのライセンス交渉の主要なステップにおける対応について国内外の企業等へのヒアリングや意見募集を実施するとともに、これらの結果を提示して行われた上記研究会での検討結果を踏まえて策定したものです。
また、本指針とともに、上記研究会における本指針の策定に向けた検討の過程を示した「標準必須特許のライセンスを巡る取引環境の在り方に関する研究会 誠実交渉指針の策定に関する報告書」も併せて策定しています。
本指針は、ライセンス交渉の透明性・予見可能性の向上を通じて適正な取引環境を実現するため、我が国として、国内特許を含むSEPのライセンス交渉に携わる権利者及び実施者が則るべき誠実交渉の規範を示すものです。
本指針は、法的拘束力を持つものではなく、また、SEPのライセンス交渉に関する明確なグローバル・ルールは存在しないため、本指針に則って行動することにより、個別の訴訟において、誠実に交渉したとの判断が得られることを保証するものではありません。
しかしながら、本指針は国内外の企業等の意見や、我が国における知的財産法・競争法の有識者や産業界の意見を踏まえて策定されたものであり、交渉当事者や司法など、多様な関係者によって活用されることが期待されます。
経済産業省としても、SEPのライセンスを巡る取引環境の整備のため、本指針を活用してまいります。
標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針(誠実交渉指針)
標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針(誠実交渉指針)